ふたつめの話
久しぶりの黄瀬くんとのデートに、僕は浮かれていたのかもしれません。
既に夜の帳が降りている時刻、ポツポツと並ぶ外灯と月明かりにちょっとの星空が僕らの姿を照らしていて、すれ違う人もいないからと車道側を歩く黄瀬くんの大きな手が僕の手に触れてきても、なんの抵抗もなく握り返した。
「へへ、嬉しいっス」
そう言ってはにかんだ黄瀬くんの横顔はとても幸せそうに見えて、僕は繋いでいた手を一度離すと今度は彼と指を絡ませて繋ぎ直す。
彼は前を向いたままで何か言うことも、こちらに顔を向けることもなかったけれど、歩調が少しだけ遅くなり、手をぎゅうっと強く握ってくれた。
そんなことが僕らには幸せすぎて、すっかりお互いのことしか意識していなくて、気付くことができなかったんです。
彼は人気モデルで、少なからず彼に強すぎる好意を抱いているファンがいることだって、ちゃんとわかっていたのに。
END
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